日本酒

【新規取扱】『雅楽代-うたしろ-』『THE REBIRTH』が道北初進出|新潟県 天領盃酒造株式会社

いつも当店をご利用いただきありがとうございます
四代目、土井優慶です

この度、ご縁がありまして新潟県佐渡島の天領盃酒造『雅楽代-うたしろ-』『THE REBIRTH』の取り扱いが開始となります

ここ北海道では昨年秋~冬から札幌の酒屋、桜本商店さんで購入することができました

私たち土井商店は道内2軒目となる北海道の『雅楽代-うたしろ-』および『THE REBIRTH』正規販売店となります

また同時に旭川および道北地区では初めての正規販売店となります

後述しますが『雅楽代-うたしろ-』を造る天領盃酒造の蔵元、加登仙一氏はこれからの日本酒業界をけん引していくといわれる若い造り手の一人です

是非、旭川をはじめ道北の皆様にも広く楽しんでいただければ幸いです

【新規取扱】『雅楽代-うたしろ-』『THE REBIRTH』

元証券マンがM&Aにより酒蔵の経営権を取得する

新潟県佐渡島にある酒蔵、天領盃酒造(てんりょうはいしゅぞう)

現当主の加登仙一氏は、もともと日本酒とは全く無縁の人物でした

彼を語る一文にはよく「元証券マンがM&Aで廃業寸前の酒蔵を買収した」と書かれますが、それははっきりいって”不十分”です

まるでこの文脈だけでは「今流行りの企業買収で金儲け目的に酒造りを志した」と思われる方もいるでしょう

けれども、それは事実ではありません

元証券マンが廃業寸前の酒蔵を買ったのではなく、日本酒に携わるために、そして酒蔵を買うために証券マンになった一人の若者がいる

今日はまずそのお話から書きたいと思います

海外で味わった”劣等感”にも似た無知の正体

加登氏は大学時代、スイスへ留学したときルームメイトから日本のことをたずねられました

他のルームメイトたちは次々に出身の国や文化について誇らしく語ることができるのに、彼はまったく何も思い浮かびません

彼らが語った自国の話の中には、文化や芸術、そして酒についても言及がありました

「自分は日本を何も知らなかった」

ショックに打ちひしがれて帰国したのち、日本について改めて興味を持つようになった加登氏

“日本”というキーワードから【日本酒】にたどり着くまで、そう時間はかかりませんでした

日本酒について調べてみると…

  • 消費量がどんどん減っていること
  • 酒蔵の数も年々減り続けていること
  • 若い飲み手が増えていないこと

調べれば調べるほどに興味がわくとともに、その現状をどうにかしたいという気持ちが強くなりました

あらためて調べてみると日本酒には数千ものブランドがあり、それぞれが独自性をもってを酒造りを行っていること

試しに”日本酒専門居酒屋”に行って飲んだ日本酒の数々は、居酒屋メニューにあった「日本酒 冷酒・燗酒」とひとくくりにされたものとは、明らかに違う美味しさを秘めたものでした

「こんなに美味しいのに何で誰も飲まないんだろうか」

彼自身はもちろん、彼の周囲もまた日本酒を飲まない若者ばかりだったことも衝撃的だったんです…と彼は話してくれました

しかし、彼は「酒造りの道」ではなく「酒蔵の経営」を志すことになります

一般的な思考ならば「どこかの酒蔵でお酒を造る」ことが最短ルートですが、それでは彼が思い描く「若い方たちが日本酒を好んで飲む日本という国」には程遠い

彼はスイス留学時代に自らが体験した「劣等感=日本人に生まれながらにして、他国に誇れるコトやモノがない」ことを”等身大の若者”として嘆いているのです

若い人たちに日本酒を知ってもらい、そして飲んでもらい、日本酒を取り巻く”負の現状”を打開するためには「自ら先陣を切って酒を造り、雇われることではなく裁量をもって流通や販売をしていかねばならない」

つまり彼は「酒蔵の経営者」になろうと考えます

新規参入を阻む「2つの壁」

しかし、ここで2つの大きな壁が立ちはだかります

酒蔵を立てるには莫大な資金が必要であり、仮に資金面はどうにかなったとしても、実は日本酒の製造免許を新規に取得することはほぼ不可能

なぜなら日本酒は衰退産業であり、新規の製造免許を交付することは急激な業界の変化を及ぼし既存の酒蔵の経営状態が急激に悪化すると考えられているからです

つまり彼が”酒蔵の経営者”になる道は「M&Aによって酒蔵を買収する」方法しか残っていませんが、大学3年生だった彼には当然、その夢を叶えるための資金も実力も、そしてその発想もありませんでした

まもなくして就職活動時期を迎えた彼は「いつか酒蔵の経営者になる」ために、まずは財務や経営に強くあるべきと考えて証券会社へと就職します

証券会社は、経営的に盤石であり資金に余裕のある企業や経営者からお金を預かり様々な投資を行う、つまりそこにいけば優秀な経営の先輩たちに数多く出会えるはずだ、と考えました

そして営業先に行くたびに「僕は酒蔵の経営者になりたい」と先方の社長に語り続け、とある企業の社長から「ならばM&A(企業買収)で酒蔵を買うのが一番早い」とヒントをもらいます

その瞬間から彼は平日は証券マンとして働き、週末はM&Aサイトで掲載されている酒蔵を片っ端から視察するようになります

証券会社で培った企業分析をもとに「自分が最短ルートでオーナーとなり、酒を造り、経営状態を改善できる酒蔵」に絞り込んで出会ったのが、現在の天領盃酒造です

そして何度も何度も、金融機関に事業計画書を持参し、幾度となく断られ続けるも、やっと念願の資金調達が叶います

新生、天領盃酒造

2018年、天領盃酒造のオーナーとなった加登氏は最初の数年を「マイナスをゼロに」するために費やしました

当時の酒蔵は、経営状態はボロボロ(だから酒蔵を買うことができたともいえますが)

蔵の状態も、もう写真に収めることも放棄してしまいたくなるほど、荒れ果ててしまった酒蔵でした

いざ酒蔵を買ってはみたものの、外壁は剥がれ落ち、隙間風どころではなく、蔵が外界と自由に行き来ができ、蔵の中はほこりだらけカビだらけ…

「経営どころではない、まず”いい酒”が造れないとヤバい」

まずは「美味しい酒を造る」ことが出来なければ経営を改善することは出来ないと考え、2019年は広島の酒類総合研究所と相原酒造にて酒造りを学ぶこととなります

この頃、産声を上げたのが日本酒『雅楽代-うたしろ-』でした

また同時に”いい酒”を造って、それを保管するための設備のスクラップ&ビルドにも努めました

そして数年かけて補助金を活用した酒造設備の導入、蔵の改革を進め、2022年には「新潟の佐渡に天領盃という面白い酒蔵がある」と業界で噂されるようになります

様々な苦労の末、見違えるような酒質となった2022年は躍進の年であり「ゼロからプラスへ」と彼は表現しています

それもそのはず、2023年5月に行われた全国新酒鑑評会において3期目にて初の金賞を受賞

さらに2023年7月に行われた市販酒コンテストSAKE COMPETITON2023、純米酒部門において、名だたる著名蔵の中に『雅楽代』が第6位として、名を刻むことになります

そして2023年8月より、日本酒ファンなら一度は聞いたことのある、全国で名前をとどろかせる著名酒販店の数々も、一斉に取引が始まるのです

そう、たった3年という月日で、彼が造る『雅楽代』は舌が肥えた日本酒ファンを魅了する人気銘柄へと変貌しました

土井商店が『雅楽代』を取り扱う理由

加登氏との出会いは今から5年ほど前、Twitterで彼のアカウントをフォローし始めた2018年にさかのぼります

「2018年、24歳にして全国最年少酒蔵となった天領盃酒造の若き蔵元」
「元証券マンが酒蔵を買収し、経営者となる」

僕はそのとき”ずいぶん酔狂な若者もいるんだな”と思ったと同時に「一回りも年下の若者が一体なにを魅力として日本酒業界に飛び込んだのか」と非常に気になりました

24歳という年齢は、僕が医学の道をあきらめ、家業である酒屋に戻った年でもあります

一人の人間として、僕は彼に興味がありました

しかし、文頭で語った酒蔵の継承にまつわるエピソードをWEBで拝見して「こりゃただものじゃないな」と身震いしたのを覚えています

僕も異業種からの酒屋後継者の一人、また一経営者として財務や経営にはもちろん、M&Aについても多少の知見があります

M&Aは資金面での苦労と、買収後の経営再建に大変な労力がかかります

さまざまなリスクを負い、若くして人生を賭してまで日本酒の道を志し、酒造りだけでなく、酒蔵の経営や業界への貢献に身をささげようとする彼の熱量にほだされ、一方的にTwitterを通して陰ながら応援をしておりました

「機会があればどこかで会いましょうね」

そんなダイレクトメールのやり取りから数年が経ち、2022年秋、札幌の桜本商店さんにて『雅楽代』の新規取扱が始まります

「ああ、やっぱり頭一つ飛び出てきたな」

彼の熱量を考えれば、遅かれ早かれ、有名酒販店がほっておくわけがありません

桜本商店さんのような有名酒販店で取り扱いが始まるということは、それはまもなくして全国の酒屋から引き合いが来る人気酒蔵へと変貌するということです

そして2023年春に、札幌の桜本商店の桜本社長から電話が一本入ります

「上川大雪酒造に天領盃の加登さんと一緒に行くんだけど、夜スケジュール空いてる?」

2023年5月、桜本商店の桜本社長の紹介で初めて加登さんとお会いしたときは、店内をグルグルと歩き回り、ひたすらに「すげぇすげぇ」を連呼しながらも、目に宿るギラリとした光が印象的でした。そしてイケメン。メッチャイケメン。

初めてお酒を酌み交わした夜の一席でも、お互いの未来への展望を語り合いながら「やっぱ初めてあった気がしないわ」と加登さんとともに一笑

天領盃酒造の公式サイトに、彼が書いてくれた土井商店の紹介文にも似たようなことが書いてあります

お店について、とにかく群を抜いて身長が高い人を見つけたらそれが社長です。

土井さんとも2018年、蔵を引き継いだすぐから、Twitterで知り合い、たまーにやりとりする間柄でした。2023年5月に初めてお会いすることができ、意気投合。

初めまして感は全くありませんでした笑

各SNSを駆使した情報発信、丁寧親切な接客。個人のお客さんが多い理由が店内に、そして店舗スタッフの接客の中に隠されています。

天領盃酒造 公式サイト 買える店一覧より「土井商店」紹介文より引用

Twitterを通して、お互いがどんな人物なのかをなんとなーく知っていて、それをまるで再確認しているような感覚です

北海道から佐渡へと戻り、すぐにサンプルを送ってもらいました

その味わいは「彼の熱量と努力が味となって伝わる」ものです

当時を写したボロボロの酒蔵からは到底想像できない味だったし、どれだけの苦労を伴ったのか、一朝一夕にはなしえない努力の味わいでした

ほどなくして、私から「一緒にやりませんか」というお声掛けをして、有難いことに「土井さんとも、一緒にやりたいと思ってました」というお返事は、ほぼ同時だったように思います(自惚れじゃないことを祈りましょう)

僕は若くして日本酒業界に飛び込んだ彼の熱意に惚れた、ファンの一人です

彼が日本酒業界で羽ばたいていく姿は、出来るならば「最も近いところ」で見ていたいと思うのです

長く書き連ねてきましたが、それが私たち土井商店が『雅楽代』を取り扱う理由です

現在のラインナップ

雅楽代 -うたしろ-

2019年5月1日令和元年初日にリリースされた天領盃酒造の新ブランド。名前は天領盃酒造がある佐渡市加茂歌代から命名しました。歌代とは「歌の代わりの土地」という意味合いで、佐渡に流されてきた天皇に和歌を読み、気に入ってもらえると褒美として土地をもらえたそうです。土地を授かり、栄華を極めた者たちは自らのきらびやかな時代を誇り、「雅楽代」(うたしろ)と名乗るようになり、現在では北海道に数名、雅楽代姓の方がいらっしゃるとのことです。

「雅びで楽しい代(とき)」

私たちのお酒も「皆様の思い出に残る楽しい時間を演出したい」と考えております。 私たちの目指したいお酒と天領盃のある土地から派生した名前の由来が合致していることから、新ブランド名を「雅楽代」と名付けました

雅楽代シリーズのコンセプト「綺麗で軽くて、穏やかなお酒」

そして、主役にならないお酒です。

主役はあくまでもお酒を飲む皆様。その時間に寄り添うような、真っ直ぐで地味なお酒です。パッとしないと感じるかもしれません。なぜなら雅楽代は引き算のお酒だからです。

核となる味わいを決め、できる限り削っていくような洗練された繊細な味わい。

「やっぱり白いご飯が一番落ち着く」ように、いろいろな味わいのお酒を飲んで、最終的にたどり着く心の拠り所のような優しいお酒を目指しています。

天領盃酒造 公式サイトより引用

■ 雅楽代 -うたしろ-
□ マスカットのような爽やかで穏やかな香り、ガス感がぱっちりと効いていて、クリーンかつ上品な口当たり。「雅」という漢字から連想できる奥ゆかしく控えめな甘み。甘くないといってもいいくらい、控えめ。ボリューム感を丁寧に調整してきれいな味わい。蔵の説明から引用するならば”淡麗辛口”なのだが、新潟酒の新ジャンルというくらいにモダンな印象。しかし一見するとモダンな味わいなのに、洋食寄りではなく、スタンダードな家庭料理にも合う。もちろん高級な和食との相性も絶妙で、懐石料理の”八寸”とともに飲みたくなる酒。
□ 1800ml 3,590円 / 720ml 1,795円

■ 雅楽代 日和 -うたしろ ひより-
□ こちらはアルコール度数をさらに抑えて造られた、いわゆる低アルコール日本酒に属する『雅楽代』。まるで和梨のような瑞々しい味わいが素晴らしい。さわさわと撫でるようなガス感と、時間経過とともに甘みと酸味の目くるめくドラマチックな味わいが楽しめる。一口飲んだだけでは魅力伝わらず、まるで『雅楽代』の筆字のように、繊細だが存在感のある酒。こちらはどちらかというと洋食向き、レモンソースのクレソンサラダ、牛ステーキにはめちゃくちゃ相性が良い。
□ 1800ml 3,700円 / 720ml 1,905円

THE REBIRTH -ザ リバース-

2019年、合併する前の1つの蔵を見に行った際、分析室から昔の仕込み配合や経過簿が出てきました。そこには現在はもう終売となってしまったお酒のレシピばかりでした。

そしてそこには貴醸酒やスパークリングなど、現在でも人気のお酒も多数。

しかし、当時は受け入れられなかった模様。そう、時代が追いついていなかったのです。

そこで、先代たちに敬意ははらい、現在の天領盃なりのアレンジを施して復活させようと考えたのがTHE REBIRTHシリーズの始まりでした。

「復活・再生」をテーマに、終売してしまったお酒をアレンジしたり、古来の製造技術、古来のお米を復活させる天領盃酒造第二の限定流通ブランド「THE REBIRTH」

 口へ含んだ瞬間、過去と現代の繋がりから生まれるワクワクが止まらないお酒を追求し続けます。

天領盃酒造 公式サイトより引用

■ THE REBIRTH Time Machine -OUROBOROS-
□ ザ リバース タイム マシーン ウロボロス
□ 蔵に眠る16年古酒を、現代風にアレンジして世に送り出した『THE REBIRTH』シリーズ。清酒を仕込みに使う”貴醸酒”で、蔵のラインナップでは最もリピート率の高い一本でもある。酸味を印象的に使うことで、濃厚な甘みに独特のキレが感じられるのがユニーク。頭で飲むのではなく、感性で楽しんでもらいたい酒でもある。日本酒を初めて飲む方に飲んでもらえるなら、間違いなくファンになることうけあい。
□ 720mlのみ 2,345円