日本酒

【新規取扱】「飛良泉(ひらいずみ)」が道北初進出|秋田県 飛良泉本舗

いつも当店をご利用いただきありがとうございます
四代目、土井優慶です

この度、ご縁がありまして秋田県、株式会社飛良泉本舗が手掛ける日本酒「飛良泉(ひらいづみ)」の取り扱いが開始となります

ここ北海道では札幌のヤマショウ酒店さんが”直取引特約店”としてすでに取り扱いをしております。また飛良泉本舗が加盟する日本名門酒会を経由して取り扱いのある酒屋があります。

2025年2月より、北海道2軒目の”直取引特約店”として土井商店が「飛良泉」を取り扱うこととなりました

じつは2年ほど前より「飛良泉」を醸す齋藤専務と出会い、たびたびイベントで顔を合わせては一緒に酒を飲み、お互いのポリシーや方向性を話して親交を深めておりました

「飛良泉」は創業500年を超える歴史ある酒蔵で、伝統の”山廃づくり”でつくられる日本酒

長い歴史と伝統技術と聞けば、重厚感のあるいかつい味わいを連想してしまいますが、彼が目指す酒造りは「圧倒的に綺麗な味わい」

土井商店が「飛良泉」を取り扱った理由は酒蔵の紹介文の最後に記載しております

是非、旭川をはじめ道北の皆様にも広く楽しんでいただければ幸いです

【新規取扱】飛良泉(ひらいずみ)

「飛良泉」醸造元 飛良泉本舗

創業1487年、ときは室町時代、530年を超える歴史のある秋田県にかほ市の酒蔵、飛良泉本舗

東北最古の酒蔵であるとともに、日本国内の酒蔵として3番目に古い酒蔵です(日本最古の酒蔵は1141年創業の須藤本家 株式会社)

現在の大阪府泉佐野市、かつての泉州堺で廻船問屋を営んでいた斎藤家。諸説ありますが、応仁の乱で荒れた西方から逃れて、この地にたどり着いたと言います。廻船問屋と営む一方で、いわゆる副業的に始めた酒造りが、時代とともに本業化していったそうです

現在は26代目当主の時代。後継者である齋藤専務で27代となります。

日本酒「飛良泉(ひらいずみ)」は蔵の所在地である地名「平沢」と、斎藤家の昔の屋号である「いずみ屋」からきており

さらには地元の画工が越後の良寛和尚に「飛びきり良い白い水」としたためて当蔵の酒を贈ったたことから名づけられました

祖父と、山廃仕込み

2018年、30歳の節目に家業へと戻った齋藤専務は、蔵を継ぐまでは日本酒とはゆかりのない、まったく異なる業界で働いていました

東京の大学を卒業後、総合映像会社に7年勤め「大手企業にCMの”枠”を売って、朝からバリバリ仕事して、夜ガバガバ酒を飲む、そんな体育会系営業マンでした」と齋藤さんは笑って話します

若いころは「生まれ育った家業」と「決められた人生」とのレッテルに苦しみますが、彼の跡継ぎへの志を後押ししたのは祖父の存在でした

齋藤さんの祖父は日本酒「飛良泉」を”山廃(やまはい)仕込みの銘酒”として日本全国に名をとどろかせた立役者でした

幼少期、真夜中にたたき起こされて”醪(もろみ)”の音を何時間も聞かされたり、小学生のときには何時間も”醪”の説明をされたり。

そんな熱い想いをもって酒造りに挑み「祖父の築き上げたもの=山廃仕込み」を大切にしたい、という気持ちで後継を決意しました

従来の日本酒造りを踏襲しつつ、現代に通じる新たな味わいを探し求め日々研鑽を積んでいました

それと同時に、経営と酒造りが分離している蔵のあり方を見直し、経営と酒造りを一本化して行う”蔵元杜氏”への道を歩み始めました

かつての日本酒「飛良泉」は日本名門酒会の加盟蔵として名を知られており、祖父が手掛けてた「山廃仕込み」の素晴らしさから全国に名を馳せる酒蔵でありました

弊社会長も日本酒「飛良泉」のサンプルを名にしたとき『いい酒だったんだ、昔売ったことある』と昔を懐かしんで話していました(かつて弊社も日本名門酒会の加盟店でした)

そして再び「飛良泉」脚光を浴びるきっかけとなったのは齋藤専務が手掛けた新作、元広告マンとして培った企画力と、蔵に伝わる伝統的製法、そして現代風の酒造りの融合である日本酒「飛囀 HITEN」シリーズでした

日本酒「飛良泉(ひらいずみ)」の酒造り

日本酒「飛良泉」の特徴は「山廃仕込み」と呼ばれる醸造法です。今期よりすべての「飛良泉」が山廃仕込みによって造られています

「山廃仕込み」の正式名称は山卸廃止仕込み(やまおろしはいししこみ)といい、明治時代に確立された昔ながらの醸造方法です

近代の酒造りの主流となっている醸造方法は速醸仕込み(そくじょうしこみ)といい、山廃仕込みをさらに簡便かつ安定した酒造りを求めて確立されたものです

「山廃仕込み」は蒸米、麹、水を仕込んだ後で、米を溶けやすくするために櫂棒と桶ですり潰す”山卸(やまおろし)”と呼ばれる作業を廃止した方法です

山廃仕込みでは、空気中に生息している乳酸菌など微生物の力を借りて、自然のままに酒母を培養・育成する自然の摂理にかなった方法ともいわれています

ちなみに今日、主流となっている「速醸仕込み」は約2週間ほどで仕上がりますが、「山廃仕込み」はその2倍近い30日ほど必要です。

微妙なさじ加減の温度管理が必要とされるため、手間ひまを惜しまず、手のかかる我が子を育てるように作られています。

現在のラインナップ

(写真左より)

■ 飛良泉 山廃純米酒
□ 四代目がサンプルで絶賛した一本。蔵に伝わる”山廃仕込み”で造られた定番酒。スムーズな味わいの流れの中に、柔らかくたおやかなコク、骨格のしっかりとした酸で立体感をつくりだす。開栓してからも味わいは崩れるどころか、むしろ日に日によくなっていくので経時変化も楽しめる。おすすめは冷酒で飲むよりもやや冷え~常温が絶品。齋藤専務いわく「定番=一番数を造っているから、トライ&エラーを繰り返す分、ぶっちゃけ一番クオリティが高い」。レバニラなど、味の濃い料理とも相性◎
□ 1800ml 3,410円 / 720ml 1,760円

■ 飛良泉 マル飛(まるひ) 山廃純米酒
□ 「飛良泉」といえば”飛囀”か、コレか。と言われるほど、日本酒ファンの中ではよく知られた有名酒。先ほどの「山廃純米酒」とは打って変わって、果実味を思わせるような酸味や香り、ほのかな甘みに、爽やかさすら感じる味わい。酸味と渋みがリズミカルに舌を踊るので、とてもユニーク。とびぬけた個性の理由は、リンゴ酸を多く生成する酵母を使用していることによる。そのため常温や温めて飲むよりも、軽く冷やして飲むほうが酸が際立って旨い。立ち位置的に「飛囀」と「山廃純米」の中間に位置する。
□ 1800ml 3,410円 / 720ml 1,760円

■ 飛良泉 FOUR SEASONS 冬 しぼりたて
□ 一口飲んだ瞬間に「これ好きな人多いよね」って思えるくらい、親しみやすい味わいの限定酒。わざわざ齋藤専務が土井商店のために12月から確保してくれていた酒なので、世間ではすでに完売してしまっている冬季限定酒。今期分はまだテイスティングしていないので、昨年のコメントを参考にどうぞ。
 プチプチとしたガスが爽やかに、透明感と軽やかさを兼ね備える。”古い”山廃仕込みを知っている方からは想像できないほどに、タッチが軽い。クラシカルではなくしっかりと現代にアップデートされた味わいを楽しめる
□ 1800ml 3,630円 / 720ml 1,870円

■ 飛良泉 飛囀 HITEN 鵠 HAKUCYO Type-A
□ 齋藤専務が手掛け、瞬く間に人気となった「飛囀 HITEN」シリーズの一つ。発売したばかりのグルメ誌「dancyu」にも”新進の注目蔵15選”に選ばれた逸品。穏やかかつ爽やかな香り、きらきらと輝くような口当たり。柑橘を思わせるクリアな酸味。酸味の質感を深く味わえば、ただ単に”爽やか”では片付けられない複雑さもある。日本酒というよりも味わいの要素は白ワインに近い。スタッフの中でも「これが人気なのはよくわかる」と絶賛。からあげにレモンを絞るように、揚げ物を使った料理には文句なし。蔵元おすすめはポン酢を使った料理だそうな。
□ 1800ml 3,850円 / 720ml 1,980円

■ 飛良泉 楪蔵(ゆずりはぐら) 山廃純米大吟醸
□ (テイスティングが済んでいないため蔵元コメント抜粋)蔵付き酵母である「はま矢酵母」、そして蔵の代名詞にもなっている「山廃造り」で醸し、飛良泉らしさを前面に押し出した純米大吟醸。香りがとても豊かで心地の良く、綺麗な味わいで優しく柔らかい甘みが特徴。山田錦らしい旨味とほろりとした苦味が最後に味をまとめあげる至極の一本。
□ 720mlのみ 3,960円

■ 飛良泉 山廃本仕込(やまはいほんじこみ) 特別本醸造
□ 先ほどの「飛良泉 山廃純米酒」のアルコール添加バージョン。流れるような舌触りと、柔らかくもジワリと広がる辛口。けれども山廃仕込みによる酸で、味わいはしっかりと厚みも。特筆すべきは余韻の短さであり、青魚や脂の多い魚によく合うので、鰺のタタキやブリのなめろうに合わせるとうまい。寿司屋でやや冷えで出されたら、もうこの酒しかいらないのではないか(笑)
□ 1800mlのみ 2,970円

土井商店が「飛良泉」を扱う理由

「生まれ育った家業を受け入れ、祖父の背中を見て酒造りを志した27代目蔵元」

そう聞けば、とてもロマンチックなエピソードに聞こえますが決して順風満帆なものではありません

齋藤さんは蔵に戻ってすぐに酒造りを学ぶとともに、様々な課題に直面します

創業500年を超える酒蔵の修繕
よい酒造りへの設備投資と資金調達
経営と酒造の分離化から、一本化への転換
出荷量の減少と財務状況の改善

同じ経営者という立場ですから、彼の苦悩は骨身にしみてわかります

以前「飛良泉」の齋藤専務との出会いを、親しくしている日の丸醸造の佐藤社長に偶然話したところ

「歴史が長いということは良い歴史も、そうでない歴史もある」
「彼の背負うものは、僕らの想像以上のもの」
「ご縁があるなら、どうか力になってあげてほしい」

なにを隠そう「飛良泉」と土井商店をつないだのは、同じ秋田の酒蔵であり「まんさくの花」を造る日の丸醸造の社長だったのです

齋藤専務と初めて会ったとき、開口一番、日の丸醸造の社長からこう聞いていたと語ってくれました

「いまは大切に売ってくれる酒屋を見定めよう」
「飛良泉はあんな酒屋に売ってもらえたら、きっと後押しになるはず」

大手酒問屋への販売を中心としてた「飛良泉」でしたが、斎藤さんが蔵へと戻ってからは”特約店制度”と呼ばれる酒屋と酒蔵が1:1で対等な関係を築ける販売方法にシフトし始めたときでした

他人事とは思えなかった私は、酒造りの話だけでなく、経営課題や採用、人材育成に至るまで、どこかで会うたびに齋藤さんと会話を重ねてきました

一昨年から杜氏制度を排して、社員のみでの酒造りへ転換したばかり。そんな矢先ですから多忙をきわめ、なかなかお取引の話を詰めるチャンスに恵まれませんでしたが、昨年春から少しずつ取引に向けて話を進めてまいりました

2024年8月、斎藤さんが北海道に来られた際にわざわざ旭川まで足を延ばしていただき、弊社を視察。弊社の方向性や今後の展望について丸一日ずっとディスカッションしていました

9月ころより送られてきたサンプルを、社内で一本一本テイスティングし、取引の是非について社内でもしっかりと共有してきました

「山廃仕込み」は弊社でも数少ないジャンルの日本酒ですが、そのフードフレンドリーな味わいときれいな質感。「それも山廃仕込みでやるの?」という酒にまで、徹底して「山廃仕込み」を貫き通す

180センチを超える大きな体と、微笑みが似合う整った顔立ちに立派なあごひげ。威圧感を感じるかと思いきや、朗らかな声と、親しみやすい雰囲気にギャップを覚える。

元広告マンで「若いときはパリピっす」と自嘲する彼との世間話は、いつも気が付くとなぜか”酒造り”と”経営”の話に勝手に切り替わる

彼と話していると「ああ、酒造りが心底好きなのか」と自然と思わされる

私よりも3歳ほど若い蔵元ですが、私と同じく、この先30年は日本酒業界で生きていかねばならない

日々変わりゆく世の中で、変えなきゃいけないものも、変えてはいけないものも多くある。彼はそのはざまにいて悩みながらも、時に大ナタを振るって改革し、時に歴史と伝統を重んじる

決して容易ではない全量山廃仕込みを貫き、現代風のエッセンスを交えてリリースするその酒の味わいも見事なもの

けれど一方で、日本酒と蔵の行く末を案じ、経営の課題に悩み、人に悩み。次に会う時もきっと「土井さぁん、聞いてくださいよぉ」とあの朗らかな笑顔で話しかけてくるのだろう

私はそんな姿を、近くで見ていたいと思ったのです

それが土井商店が日本酒「飛良泉」を取り扱う理由です