こんにちは
土井商店 四代目、土井優慶です^^
新型コロナウイルスの感染拡大から早1年…最近、全然居酒屋さんに行けてない(涙)
旬のお刺身の盛り合わせも食べてないし、
アツアツの揚げ出し豆腐とか、ゴロッとしたザンギとか、
自宅だとちょっと手間がかかるから食べられない料理の数々
あー、居酒屋メニューが恋しい…
居酒屋さんといえば!!
そう、最近このお酒のことを紹介するチャンスに恵まれず、久しぶりに手に取った一本
居酒屋さんの採用率がメチャ高い辛口酒!!
今日はコチラのご紹介☆
南酒造場『南 特別純米 無濾過生原酒』
高知県 南酒造場『南 特別純米 無濾過生原酒』
みなみ とくべつじゅんまい むろかなまげんしゅ
ドーンと「南」の文字がラベルに描かれた高知県の辛口酒
毎年2~3月に発売となる限定品は、定番酒『南 特別純米』をしぼったまんまの状態でリリース
数年ぶりに試飲してみました☆
『南』の醸造元である南酒造場ってどんな酒蔵?
日本酒『南』を造っているのは、高知県安芸市安田町にある南酒造場さん
安芸市安田町は高知県の東部、高知市と室戸岬の中間に位置する都市
安芸市の名産は「柚子」と「ちりめんじゃこ」
なかでも「柚子」は安芸市が日本一の生産量!!
そんな安芸市安田町にある酒蔵、南酒造場さん
明治2年創業、地元では『玉の井』という日本酒を造っていましたが、前当主が県外向け銘柄『南』を立ち上げて、広く知られるようになりました
意外なことに、日本酒『南』は北海道では比較的よく見かける銘柄
しかし、もともと県外向けに造られているため、高知県内ではなかなか見かけることのない日本酒ともいわれています
わざわざ北海道まで高知県の居酒屋さんから『南』の注文が届くくらい(苦笑)
…日本酒あるあるなんですけどね
酒造りに使う仕込み水は、アユ漁で有名な安田川からの伏流水を使用
皆様ご存じの通り、高知県は台風の通り道…地理的な不都合があり、稲作はあまり盛んではありません
そのため、日本酒を造るのに適した酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)も、県外から確保する割合の高い地域でもあります
今回の『南 特別純米 無濾過生原酒』に使われている酒米も、愛媛県で栽培されている松山三井(まつやまみい)を使っています
※近年、倒れづらく品種改良した高知県独自の酒米も開発され、もっとも有名なものでは「吟の夢」、ほかにも「土佐錦」「風鳴子」「土佐麗」などがあります
日本酒『南』は、高知県のお酒で一般的に言われる”淡麗辛口”ではなく、シャープな辛さの中にコクのある”旨口酒”
旨口(うまくち)というのは、旨みや奥行きのある味わいのことで、なかなか文章にすると難しい表現ではありますが、濃すぎず薄すぎず、適度なバランスのお酒をいいます
今回の『南』はどんな日本酒?
『南 特別純米 無濾過生原酒』は毎年2~3月にリリースされる限定品
一年を通じて発売されている定番酒『南 特別純米』の”しぼりたて”ともいうべき限定バージョン
なかなか【試飲レビュー】でも取り上げることがなかった『南』
…というのも“限定品”と呼ばれる『南』は発売されるアイテム数が少ないのです
秋のひやおろし、冬の無濾過生原酒くらいでしょうか
あまり大きな規模の酒蔵ではないので、限定品の瓶詰数量も多くありません
ファンは多いのですが、皆様にこうしてご紹介する機会が少ないのはそこに理由があります
酒蔵に在庫がある限り入荷はしてきますが、いかんせん、こういうご時世ですから、早めの方がよろしいかと…
では、早速飲んでみましょう☆
ワンポイント用語解説『無濾過生原酒』って?
無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)とは、3つの言葉が合体した日本酒の用語です
- 無濾過(むろか)
- 生酒(なまざけ)
- 原酒(げんしゅ)
無濾過とは、活性炭やマイクロフィルターによる濾過をおこなわず、香りや味わいが”しぼったばかりのお酒に限りなく近い”状態のお酒のこと。ろ過はお酒を造る際に残存している酵母や酵素などを取り除き、旨みや香りが変わりづらくする作用がある。酒蔵によって定義があいまいだったりする(笑)
生酒とは、一般的な日本酒は、酒蔵から出荷~お客様の口に入るまでに、お酒が劣化してしまうことを防ぐために加熱処理(火入れ)を行う。生酒は加熱処理を行わないため、フレッシュな質感のまま楽しめるお酒
※生酒は室温に数時間放置しただけでも、前後で大きく味わいが変わっていきます。加熱処理をしていない場合、お酒の中には酵素が残存しており、お酒が甘く鈍重になっていったり、香りにムワッとした不快な香りが現れます。冷蔵庫にいれておいても味の変化は遅くなるだけで止まりません。なかには大化けして美味しくなるのもあるけど…自己責任で
原酒とは、しぼったばかりのお酒はアルコール度数が18度以上あり、その状態をあらわす用語。飲みやすい濃度に調整する目的で加水(かすい)と呼ばれる割り水の工程がある。原酒は加水を行わないため、出来上がったそのままの”濃さ”が楽しめるお酒
『南 特別純米 無濾過生原酒』の味わいは?
開栓初日はやっぱり高知の酒らしい辛口酒
香りは…
うん、あまり香ってきません
具体的に「コレ!」ってイメージできないほどに控えめです
口に含むと…
シャープでスムーズな質感
「しぼりたて」らしい新鮮味あふれる印象です
口当たりはクリアな感じ
『高知の日本酒=無骨な辛口』ってイメージがあったんだけど…意外にもスマートなイケメン風(笑)
と思いきや、味わいの後半からしっかり個性派!
ググッと力強く、素朴さと無骨さが顔を出し始めました
おお、ちゃんと辛くなってきた!!
ジリジリと舌の上に感じる辛さと渋み
無濾過生原酒らしい、余韻までガツンとしたボリューム感が続きます☆
ちょっとだけ青さの残る清涼感を感じさせる余韻もたまらん!
いいねぇ、飲みごたえあって!!
久々に「男らしい酒」を飲んだなぁ
こりゃ何か食べながら一杯やりたい気分だ!
『南 特別純米 無濾過生原酒』に合わせた料理はコチラ
「あー、なんか食べたいなぁ」
ブツブツ言いながら利き酒コメントを書いていると、妻が台所にスタンバイ☆
「たぶん、コレがいいんじゃない?」
と差し出してくれたのはコチラ
我が家の定番である日本酒のつまみ『油揚げのネギポン酢』
登場頻度が高いのは日本酒によく合うから☆
パッと思い立って、パッと作れるのが大事ですよね
パリッと両面を焼いた油揚げ
万能ネギと生姜、そしてポン酢をひとまわし
うん!旨い!
ネギの青さと余韻の清涼感がベストマッチ!!
生姜のピリっとした刺激感や辛味
お酒の持つわずかな苦みと絶妙に調和するのです
驚いたのは…
酒が甘くなった!
辛口のはずなのに、ほのかに甘みを感じるほど!
こういう不思議な体験は何年飲んでいても、素直にびっくりします^^
やっぱり『南』はお酒単体で飲む酒じゃないな…
高知県といえば、ありきたりだけど「カツオのタタキ」
まったりと脂ののった独特の旨みにも相性はピッタリ☆
それから『南』を飲むときには「酢」と「薬味」は絶対に欠かせない
酢と薬味があれば何杯でも飲めてしまう、危険な酒(笑)
具体的にいえば…たちポン、もずく酢、しゃぶしゃぶ、アジのなめろう、ユーリンチー、ザンギなど
身近なところでいうと…
セブンイレブンに売ってる『砂肝ポン酢』とか最高ですよ!!
開栓後、4日経過して飲んだスタッフが驚く!
私、四代目が試飲した『南 特別純米 無濾過生原酒』はスタッフにそのボトルごとバトンタッチ
時間経過を追って味わいをチェックするのも、酒屋の大事なお仕事☆
すると…
「南、飲んでみたんですけど、専務が言っていた味と全然違いました~」
!?
まず香りからして「違う」らしいのです
スタッフ曰く、
パイナップル系のフルーティな香り
めっちゃジューシー&しっかりボリューミー
南国フルーツのような酸味も登場して、華やかなタイプにチェンジ!
クール系イケメンから、アイドル系に転身ですか!?
僕が飲んでいたのは開栓した初日のお酒
つまり、お酒本来の味わいが開く前だったということです
「スマートなイケメン系辛口酒」でも十分に美味しかったんだけどなぁ(笑)
お酒の硬さが取れるとフルーティで「元気のある親しみやすさ」が出てきたようです
開栓した初日に飲み切ってしまうのではなく、数日かけて飲んでみるのが『南 特別純米 無濾過生原酒』を楽しむときの秘訣です
まとめ
開栓した初日と数日たったお酒では大きく味わいが異なる
これは日本酒をちびちび飲む人なら、誰しもが感じる体験の一つです
- はじめは味気ないと感じていたお酒を、冷蔵庫にいれておいたら美味しくなっていた
- 「旨みが少ない」がお酒を数日たってから飲んだら、ボリューム感が出てきてふくよかさが増してきた
冷蔵庫でしばらく寝かせていたお酒、しぼりたてや新酒のような若いお酒では開栓した初日よりも、数日~数週間たってからの方が美味しくなることはよくある話なのです
この現象は…
お酒と空気が触れることで、隠れてしまっていた香りや味わいが引き出されるため
もちろん「開栓した初日が一番おいしいお酒」も多く、開栓した後は”劣化”の一途をたどってしまう…その違いを見極めるためには慣れが必要です(笑)
よく言われているのが
日本酒を保存するとき、注意するのは空気、光、温度の3つ
あれ?
矛盾してない?
日本酒は空気に触れるとダメ?それとも空気に触れてもいい?
この答えは…
程度の問題(笑)
適度に空気に触れることで味わいが開くものもあれば、空気に触れることで味わいが損なわれてしまうものもある
クラシックな味わいの純米大吟醸や大吟醸には前者が多く、香り高いフルーティなお酒は後者が多いような気がします
なかなか見極めが難しいからこそ、僕たちのような酒屋がちゃんと説明しなきゃダメなのです☆
まさに『南 特別純米 無濾過生原酒』は一本で二度おいしい、開栓してから味わいが変化するのを楽しめるお酒というわけです☆
オススメポイント
- 辛口好き
- 最近の流行りのお酒は得意じゃない
- イケメン好き
- メイン食材よりも、横に添えてある薬味の方が好き(笑)
- 刺身が食べたい
- 美味しいものは最後まで取っておきたい派
- お酒飲むときは料理がないとダメな人
- 毎日チビチビ飲みたい派
名称 | 南 特別純米 無濾過生原酒 |
読み方 | みなみ とくべつじゅんまい むろかなまげんしゅ |
製造元 | 有限会社 南酒造場 |
産地 | 高知県 安芸市 安田町 |
原料 | 愛媛県産 松山三井(まつやまみい) 100% |
精米歩合 | 60% |
アルコール度数 | 18% |
日本酒度 | +8 |
価格(税込) | 1800ml 2,934円 / 720ml 1,506円 ※弊社販売価格 |