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【試飲レビュー】『クラシック仙禽 無垢』ワイン×日本酒?モダンとクラシック??違いが分かればさらに旨い、純朴の定番酒☆

「日本酒は説明しなきゃ伝わらない酒」

きちんと説明しないと、そのお酒の美味しさが全然伝わらない!!

自分自身がそれをわかっていても、誰かに伝えるというのは本当に難しい!

多くの日本酒を取り扱う酒屋ですらも、皆さんにキチンと説明できているかというと…意外と出来ていなかったりします

自分の表現力の乏しさにげんなりしちゃう、四代目 土井優慶です(苦笑)

はい!

今日は「伝えるのが難しいお酒」の一つ

スタッフとともに「どうやったら美味しさが伝わるのか」を頭を悩ませてしまうコチラっ!!

クラシック仙禽 無垢

栃木県 (株)せんきん 『クラシック仙禽 無垢』

パッと見では読み方がわかりませんが…

『仙禽(せんきん)』と読みます

日本酒愛好家たちの中では非常に人気の日本酒『仙禽』

季節ごとに発売される限定酒も、すぐに完売してしまうような人気ぶり

しかし!

私たちの努力不足か、なかなかその魅力が伝わらないお酒の一つ(涙)

今日は『仙禽』シリーズの中から、定番酒の一つである『クラシック仙禽』をピックアップしてみます☆

仙禽ってどんなお酒?

引用元:栃木県さくら市観光ナビホームページ

栃木県さくら市にある株式会社せんきん

お酒の名前となっている『仙禽』とは”仙人に使える鶴”を意味する古語の一つ

創業は江戸時代までさかのぼる文化3年(1806年)

元ワインスクール講師だった薄井一樹(兄)氏が蔵に戻り、弟である薄井真人氏とともに造る『仙禽』

兄が営業、弟が酒造りの”分業スタイル”の酒蔵さんです

元々ワイン業界に身を置いていた薄井氏らしく、

「日本酒に最も早くワインの考え方を取り入れた人物」としても知られています

…そのぶん、お酒の説明もカタカナがとっても多い(笑)

「カタカナが多い」というだけで、

なんか難しそう…

と思われちゃうのが玉にキズ(笑)

だから今日はできるだけわかりやすく!!

簡単に『仙禽』の特徴を伝えたいと考えています^^

ドメーヌって何??

薄井兄弟が『仙禽』を作り上げる際に意識したのはドメーヌという考え方でした

ラベルの裏を見ると原料米のところに

ドメーヌさくら・山田錦

と書いてあります

ワインの世界にはドメーヌと呼ばれる考え方があり、これは日本酒にはなかった考え方の一つ

簡単に言うと…

ドメーヌ=原料の栽培、醸造、瓶詰を一貫して自分たちで行うこと

一般的な日本酒は「誰かが栽培した酒米」を仕入れて酒造りを行います

対して、『仙禽』は地元の契約農家が栽培した酒米だけを使う

だから栽培方法や農薬の有無など、原料となる酒米にも徹底的にこだわることができます

しかも…

酒蔵で使用している仕込水の水脈をたどり、その水脈上にある田で育った酒米しか使わないのです

なぜなら…

その地で育った米、流れる水、そこに住む人々、酒蔵、そして郷土、これらがすべて組み合わさった完成形が『自分たちにしかできない酒=仙禽』である

と考えているからなのです

【豆知識】ワインの世界にも同様の概念が存在し、それをテロワールと呼びます。地域の気候や地理、土壌が原料であるブドウの特徴となり、ワインの醸造に大きな影響を与えるという考え方。だからワイン醸造家は自分たちのワインが”唯一無二”であるといいます

仙禽のラインナップはどんなものがあるの?

『仙禽』のラインナップには大きく分けて4つのシリーズが存在します

  • 伝統製法と現代の融合「クラシック」
  • 多様化する食文化にフィットした「モダン」
  • 米=農業の原点を追求した「オーガニックナチュール」
  • 上質な日本酒そのものを表現「プレミアム」

今日は皆様が「一番わかりづらい」と感じている部分…

「クラシック」「モダン」の違いについて少しお話します☆

クラシック仙禽とモダン仙禽、その違いは?

左:筆で描かれた鶴が印象的な『モダン仙禽』
右:日本酒らしい髭文字で書かれた『クラシック仙禽』

『クラシック仙禽』と『モダン仙禽』の大きな違いは「製法」「味わい方」です

日本酒の製法には様々なものがありますが、

  • 『クラシック仙禽』は古くから伝わる生酛造り(きもとづくり)
  • 『モダン仙禽』は現代の日本酒造りの基本である速醸もと(そくじょうもと)

製法の違いはながーーーくなるので今日は割愛(笑)

皆様に知ってもらいたいのは、

製法によって「お酒の味わい方」が大きく異なること

  • 『クラシック仙禽』はやや冷え~常温で美味しい
  • 『モダン仙禽』はしっかりと冷やして美味しい

これは製法によってお酒の含まれる成分が異なっているからなのです

そもそも『仙禽』には大きなコンセプトがありました

日本酒と料理

昔と違って、日本の食文化も多様化

その中で日本酒がどうあるべきかを追求しました

  • 洋食などと合わせるなら、酸と甘みを重視=モダン仙禽
  • 和食などと合わせるなら、下支えとなる旨みを重視=クラシック仙禽

温度が違うのも、製法が違うのも

美味しく料理とお酒を楽しんでもらいたいから

なのです

とはいっても、人それぞれ、好みの飲み方がありますから、飲み方に合わせてチョイスするのがいいでしょう☆

今日のお酒はどんなお酒?

『クラシック仙禽 無垢』は同蔵の「クラシック」シリーズの定番酒

さきほどお話ししたようにクラシック=やや冷え~常温で美味しいお酒ですね!

酒蔵のある栃木県さくら市で契約栽培された山田錦

しかも、仕込み水と同じ水脈で育った”ドメーヌ米”で造られたお酒です

他に季節限定品として酒米「亀ノ尾」「雄町」を使ったものも存在します

サブタイトルにある

無垢(むく)

金や銀など混じりけがない事、けがれなく純真な事、素朴である事

限定品の「亀ノ尾」や「雄町」を金や銀とするならば、

定番酒である「山田錦」のお酒は「無垢=飾らない純朴の酒」であると酒蔵は考えました☆

今回紹介する『クラシック仙禽 無垢』は厳寒期に仕込んだ初回限定分として「生酒」でリリースされています^^

早速飲んでみましょう!!

クラシック仙禽 無垢 の味わいは?

天邪鬼な僕は、まず冷やして飲んでみた(笑)

正直、色々書かれても「試してみるまで信じない」ので、しっかり冷やして飲んでみます

香りは…

どことなくヨーグルトっぽい

ヨーグルトの上に乗ってる半透明な液体「ホエー」みたいな香りがします

口に含むと…

シュワッとプチプチ☆
しぼりたてのお酒らしいガスの刺激感!

キュッと引き締まってシャープな感じ
ボリュームは冷えているからか、控えめでキレイ

うん、これでも十分に美味しい(笑)

飲んでいるうちに温度が戻ってきました

いそいそと利き酒コメントを書いているうちに、だんだんと温度が上がってきました

よーし、室温だ!
どんな風に味わいが変わるかな??

香りは…

ふわーんとした雰囲気に変化
相変わらずヨーグルトっぽい

さっきよりもチクチク感が少なくなったかも…

口に含むと…

おお!全然違う!
メッチャ旨い!!

シャープな質感は消失した代わりに

むしろプレーンできめ細かい舌触り

淡く柔和な甘み

スゥーっと余韻が長くて気持ちいい^^

冷えていると感じなかった酸味と苦味も登場
そのおかげでメリハリがはっきりした感じがします!

キレイで端正な質感はなくなったけど

だが、それがいい!

素朴さが増して急に親しみやすくなった!!

これはたしかに「室温で美味しい」っていうのも理解できる

冷え性気味の僕は、体が冷えなくてうれしい(笑)

飲んで思ったのは…まるで温度に気を付けて美味しく淹れたお茶みたい☆

じわーっと体にしみわたるような、そんな美味しさ^^

あーなんか食べたい!

これは料理が食べたい酒だ!!

クラシック仙禽 無垢 に相性がいい料理やおつまみは?

ちょうど夕飯メニューにピッタリなものがありました☆

妻が作ってくれた『鶏肉と舞茸のバタポン炒め』

作り方は簡単…らしい(妻いわく)

  • 一口大に塩コショウした鶏もも肉をフライパンで焼く
  • 舞茸を入れて、火が通るさっと炒める
  • ポン酢をサーッと回してから、なじませる
  • バターを一欠片落として出来上がり

ちなみに万能ネギを散らせばさらに美味しく!!

バターのまろやかな風味と『仙禽』のプレーンな舌触り

ポン酢の酸味はお酒の柔らかさをさらに引き立てる

あーーー!!
うまい!!!

こういうベストマッチ体験をしちゃうと、毎日の晩ごはんが楽しすぎる

これがもっと色んな人たちに伝わってくれたら、ホントに酒屋冥利に尽きる

これぞ、酒飲みの幸せの最大値

…試しに『クラシック仙禽 無垢』を冷やして、

この料理と合わせてみたら、お酒も料理もチグハグ(苦笑)

酒蔵が意図した飲み方をきちんと伝えるのって本当に大切

他の食材や料理を合わせるなら…

  • おでんのような出汁をつかった料理
  • ヒラメみたいな白身魚の刺身
  • コンソメがベースになった煮込み料理

ちなみに…

スープ替わりに作り置きしてあった

「コンソメ&オリーブオイルで味付けしたシンプルポトフ」

これにもピッタリでした!!

浮腫むの覚悟!
スープまで飲み干したくなる最高の組み合わせ!!

あぁ、幸せ…

まとめ

『仙禽』を紹介するときには、やはりコンセプトが個性的なので

  • 元ワインスクール講師が造る日本酒
  • 白ワインのようなテイスト
  • ボルドーワインの技法を取り入れた…

などなど、ついつい難しいことばかり言ってしまいがち(苦笑)

でもお酒の本質は「美味しく楽しむこと」

皆さんに「あ、これ美味しい」と思ってもらえるように趣向を凝らした『仙禽』

酒蔵も皆さんの喜びを想像して酒を造ります

先ほどの「ラインナップの違い」も「飲む温度」も「製法」も、すべて皆さんの喜びのためのもの

だから

僕たち酒屋はそのお酒について「わかりやすい言葉」で「わかりやすく魅力を伝える」のが一番の仕事

ついついカッコつけたくなっちゃって「カタカナ語」をそのまま使いたくなっちゃうんですけどね(笑)

『仙禽』を飲むたびに、僕らは「お酒の魅力を伝える難しさ」を痛感します

そして一本、また一本と売れるたびに「お酒の美味しさを共有する喜び」を感じるのです☆

この『クラシック仙禽 無垢』の美味しさが、もっと多くの人たちに届きますように!!

オススメポイント

  • ワイン好き
  • 甘口好き
  • 料理と一緒にお酒を飲みたい派
  • イケメン好き
  • ウンチク嫌い(笑)
  • 冷え性の方
  • ゆっくり飲むのが好き
  • 洋食よりも和食が好き☆
  • 天邪鬼な性格の人
  • コーヒーよりも日本茶派のあなた
名称クラシック仙禽 無垢 生酒
読み方くらしっくせんきん むく なまざけ
特定名称生酛 無濾過生原酒(特定名称表記なし)
製造元株式会社 せんきん
産地栃木県 さくら市
原料山田錦 100%(ドメーヌさくら)
精米歩合麹米50%、掛米60%
アルコール度数15度(原酒)
日本酒度非公開
酸度非公開
価格(税込)1800ml 3,001円 / 720ml 1,601円   ※弊社販売価格