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【知って美味しい】日本酒の「ひやおろし」とは?どうやって飲めばいいの?

こんばんは☆
日本一お客様に近い酒屋、土井商店

四代目 土井優慶です^^

「秋の酒が一番うまい」
往年の日本酒ファンは口をそろえてこう言います

この時期になると全国各地の酒蔵さんから『ひやおろし』『秋上がり』と名付けられたお酒が数多く出荷されます

けれど…

『ひやおろし』って何?

そう、「ひやおろし」は意味はなかなか分かりづらい…

だから『ひやおろし』が出始めて、ざわめきたつのは日本酒ファンだけで、一般ユーザーは食指がピクリとも動かない(苦笑)

当店を古くからご利用くださるお客様は既にご存知かもしれませんが、今日は『秋酒』『ひやおろし』についてちょっぴり説明してみたいと思います☆

『ひやおろし』とは?

『ひやおろし』を説明すると…

それはもうすごーーーーく長くなっちゃうので、日本名門酒会さんの公式サイトから引用しました

「ひやおろし」とは、江戸の昔、冬にしぼられた新酒が劣化しないよう春先に火入れ(加熱殺菌)した上で大桶に貯蔵し、ひと夏を超して外気と貯蔵庫の中の温度が同じくらいになった頃、2度目の加熱殺菌をしない「冷や」のまま、大桶から樽に「卸(おろ)して」出荷したことからこう呼ばれ、秋の酒として珍重されてきました。

引用元:日本名門酒会 公式サイト

ホントは定義なんてどうでもいいんですけど、一応(苦笑)

日本酒好きなら何を書いてあるか、すぐにわかるかもしれないけど…ビギナーさんにはちょっとわかりづらい…

土井商店は「日本一お客様に近い酒屋」なので、もうちょっとかみ砕いて説明してみますね^^

火入れ(ひいれ)とは?

一般的に日本酒は出荷されるまでに、2回の加熱殺菌の工程があります

これを『火入れ』と呼んでいます☆

  • タンクや瓶に入れて貯蔵する前
  • 酒蔵から出荷される前

この2回の加熱殺菌の工程を経て、お酒は常温保管ができるようになるのです

加熱殺菌だけではなく、今の味わいがそれ以上進まないようにする効果もあります☆

貯蔵する前には腐敗防止のために加熱処理!

冬に造られたお酒は貯蔵庫(貯蔵タンク)でずっと保管されています

冷蔵庫なんて便利なものは存在しなかったので、貯蔵するときに加熱処理(火入れ)をしてから保管しないと腐っちゃう危険性がありました

「火入れ」といっても鍋でグツグツ煮立たせる訳ではなく、60~65℃くらいまでお酒を温めるのです☆

加熱処理すると…

  • 味が変わらないように、酒造りのときの酵母や酵素の働きを止める
  • お酒を腐らせちゃうかもしれない雑菌を殺すことができる

ヨーロッパで「加熱による殺菌方法」が見つけられるよりも300年以上前に、酒造りに携わる人たちは経験的にそれを知っていました^^

暑さ和らぐまで、蔵の中でしっとり熟成

加熱処理したお酒は春~秋にかけて蔵の中でひっそりと眠っています

涼やかな春、暑い夏、そして暑さ和らぐ秋…

お酒を半年間ぐらい貯蔵しておくと、あら不思議☆

ピチピチとしてフレッシュだったお酒がしっとりまろやかになったではありませんか!!

秋になって美味しさがアップした!!

これが『秋上がり』です☆

日本酒は保管状態が良いと、味わいに深みが出て美味しくなるのです!!
「しぼりたて」が最も美味しい…という誤解はありますけどね(苦笑)

せっかく『秋上がり』したお酒ですから…

冬の「しぼりたて」からひと夏越えて、ガラッと味わいが良くなった『秋上がり』

せっかく味が良くなったお酒ですから「味が良いまま出荷したい」と思うのは普通のこと☆

でも、ここで2回目の火入れをしなきゃなりません…

加熱殺菌すると、どうしてもお酒にはダメージが出てしまいます

現代ではこの「火入れ」も研究が進み、お酒のダメージが少なく済む方法や最新設備で劣化がほとんどないこともあります

とはいっても、むかーし昔の江戸時代の話ですから…

「2回目の火入れをせずに出荷する」

という結論に行きついたのでしょう☆

結局『ひやおろし』って何?

先ほど触れた話に戻りますが、「冷や」には私たちが耳なじみの少ない意味をもっています

それは…

冷や=常温であること、加熱していないこと

え!?
まじ!?

令和の現代において「冷や=冷たい」と考えるのが一般的だとは思いますが、昔は「冷えていない」のが当たり前(笑)

日本酒を冷やして飲む文化ができたのも、意外にもごく最近なのです^^

そう!!

2回目の「火入れ」をしていない=加熱していない

だから「冷や」で「出荷する」=ひやおろし

…と呼ばれるようになりました☆

とはいっても…

ここ10年くらい、定義にある『ひやおろし』とは違った、いろんな『ひやおろし』がリリースされています

  • 2回火入れされたひやおろし
  • まだ熟成が進んでないけどリリースされたひやおろし(笑)
  • ひやおろしだけど、ひやおろしとは謳っていないお酒

まぁ…バレンタインデーと同じく、『ひやおろし』は日本酒業界が秋の販売促進のために仕掛けたキャンペーンでしたからね(苦笑)

意外と知られていない事実だと思いますが…

ともあれ、知識のない方にとって理解が難しかった『ひやおろし』

どんどん色んなお酒が出てきちゃって、もっと難しくなっちゃった…

だから最近ではわかりやすく『秋酒(あきざけ)』と表現することも増えてきました☆

ま、美味しく飲めれば『ひやおろし』でも『秋酒』でも関係ないんですけどね^^

ひやおろしを美味しく飲むコツ

半年ほど熟成してから出荷される『ひやおろし』

この美味しさを存分に楽しむためにはちょっとしたコツがあります

冷やし過ぎない

『ひやおろし』は冷やし過ぎると、苦みや渋みが目立つことも…

冷蔵庫から出したばかりよりも、30分くらい経って「ちょい冷え」くらいがもっとも美味しいこともあります^^

だから…

  • まずは冷蔵庫で冷やして飲んでみる
  • 苦みや渋みが気になったら、30分くらい放置してみる
  • 「ちょい冷え」で飲んでみる

こんな風に楽しんでみるのがおススメです☆
けっこう味わいが変化するので、試してみる価値大アリ!!

常温で飲んだり、温めた方がおいしいことも

お酒の種類や、酒蔵によってもずいぶん異なりますが…

室温に戻った温度が一番おいしかったり、ぬる燗にして美味しいお酒もあるのが『ひやおろし』

…というのも、

熟成したお酒には「温めて美味しくなる成分」が多く含まれているともいわれています(難しいので詳細は割愛)

「ちょい冷え」でも苦み渋みを感じたり、味わいが薄く感じたら…

  • 電子レンジで簡単便利にチン
  • 本格的に鍋で湯煎(ゆせん)

ちょっとお酒を温めてみるのも、おススメです☆

是非、料理と合わせて☆

秋といえば…

そう、味覚の秋!!

秋鮭、さんま、きのこ…旬の味覚が多い季節
そんな食材とも相性がいいのが『ひやおろし』

もちろん秋の味覚だけじゃなく、いつもの自宅の料理にも相性◎

夏のお酒に比べて、ふっくら&こっくりした味わいが特徴の『ひやおろし』
その分、ちょっぴり味付けの濃いお料理にもイケちゃうのが魅力

普段はおツマミしか用意しない方も、秋の『ひやおろし』は是非料理と一緒に合わせてみてくださいね^^


珍しく残暑厳しかった北海道の夏も終わり、急に肌寒くなって、いきなり秋の風☆

今年は新型コロナウイルスのせいで、外で飲むのもためらいがありますよね…

だから、自宅の食卓で
だから、旬の味覚と

秋の日本酒『ひやおろし』を、夜長にゆっくり楽しんでみてくださいね^^